株価指数は、株式市場全体の値動きを示す指標です。複数の銘柄の株価を特定の計算式に基づいて総合的に数値化し、投資家が市場の相場を把握するための大切な「ものさし」です。
今回は日本の株価指数についてまとめていきましょう。
目次
日本の株価指数(特殊なもの)
業種別株価指数
上場企業をそれぞれの業種に応じて分類して算出される株価指数のことです。これによって、株式市場全体の傾向を業種ごとに把握することができます。
日本では、いくつかの業種別株価指数が存在します。例えば、東京証券取引所(東証)では、TOPIX構成銘柄を「証券コード協議会が定める33業種」に基づいて各業種別に分類し、株価を集計して業種別株価指数を算出しています。また、日本経済新聞社も、日経500種平均株価の500銘柄を、日経業種中分類により36種に分類して株価指数を算出・公表しています。
業種別株価指数を利用することで、各業種の株価動向や市場全体の傾向を把握し、投資判断や市場の動きを分析する際に役立てることができます。
日経平均VI(恐怖指数)
将来1か月間の日経平均株価の変動の大きさを示す数値です。これは、株式収益率の標準偏差と似たような概念で、パーセント単位で表現されます。
日経平均VIの計算には、日経225オプション価格が使用され、日本経済新聞社によってリアルタイムで算出・公表されています。
日経平均VIには、特徴があります。日経平均株価が急落する時にVIが急上昇する傾向があります。つまり、市場が不安定になるほどVIの数値が高くなります。逆に、VIが急上昇した後は一定のレンジ(通常は20~30程度)に戻る傾向もあります。このように、日経平均VIは市場の変動を示す指標として活用されています。
ドル建て日経平均
日本の株式市場の代表的な指数である「日経平均株価」を、日本円ではなく米ドルベースで表示する指標です。
ドル建て日経平均株価は、日本円の価値が変動する「円建て日経平均株価」と「ドル円為替レート」の2つの要素によって影響を受けます。例えば、日経平均株価が一定のままでも、円高円安によってドル建て日経平均株価が上下します。
日本株式市場の売買シェアの6~7割を占めている外国人投資家にとって、基軸通貨が米ドルであるため、ドル建て日経平均株価の方が馴染み深く、日本株を評価する際に重要な情報となる可能性があります。
東証REIT指数
東証に上場している不動産投資信託(REIT)全銘柄を対象とした株価指数で、時価総額加重平均型の指数です。2003年3月末の時価総額を基準値1000として算出されています。
この指数は、東証によって算出されており、日本の国内REITの代表的な指数として、多くのETF(上場投資信託)や投資信託のベンチマークとして使われています。
日本の株価指数(市場ごと・種別ごと)
JPX日経中小型株指数
JPX日経中小型株指数とは、JPX日経400のROEや営業利益を重視する考え方を、中小型株にも適用し投資魅力の高い200銘柄を算出する指数です。
東証のプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場している普通株式を対象としています。ただし、算出者が必要と認めた特定の銘柄も含めることがあります。
東証プライム市場指数
東証のプライム市場に上場している普通株式の全ての銘柄を含んだ株価指数です。この指数は、各銘柄の時価総額を重視して算出されています。
プライム市場は、旧区分の東証第1部の銘柄のほとんどが移行した最上位の市場です。そのため、東証プライム市場指数は、日本を代表する大手企業の株価動向を反映していると言えます。
東証スタンダード市場指数
東証のスタンダード市場に上場している普通株式の全ての銘柄を含んだ株価指数です。この指数は、各銘柄の時価総額を重視して算出されています。
スタンダード市場は、プライム市場とグロース市場の中間に位置し、投資対象として十分な流動性(株式の売買が円滑に行える性質)とガバナンス水準(企業の統治体制の健全性)を備えた企業が上場しています。したがって、東証スタンダード市場指数は、安定的で成長性のある企業の株価動向を示す指数と言えます。
東証グロース市場指数
東証のグロース市場に上場している普通株式の全ての銘柄を含んだ株価指数です。この指数は、各銘柄の時価総額を重視して算出されています。
グロース市場は、旧区分の東証マザーズやJASDAQグロースに該当する、新興企業が中心の株式市場です。したがって、東証グロース市場指数は、主に新興企業の株価の動きを表していると言えます。この指数は、成長が期待される若い企業の株式の動向を示す重要な指標となっています。
東証マザーズ指数
東証の「マザーズ市場」と呼ばれる成長企業向けの市場に上場している内国普通株式の全ての銘柄を対象とした株価指数です。この指数は、各銘柄の時価総額を重視して算出されています。
2022年4月の東証市場区分再編によって、マザーズ市場自体は廃止されましたが、東証マザーズ指数自体はその後も継続して算出されています。
2023年11月6日に指数名称が「東証グロース市場250指数」と変更される予定です。