相場のトレンドを分析するためには、さまざまなテクニカル指標が存在します。その中でもトレンドの転換点を見分けるために注目されるのが「パラボリック」指標です。今回は、パラボリック指標の基本的な使い方と、相場のトレンド転換点を探る際に役立つ方法について解説します。
パラボリックとは
パラボリック（Parabolic）とは、その名前の通り「放物線上の」という意味を持ちます。放物線の形状をしたラインをチャート上に表示するテクニカル指標です。この指標は、J.W.ワイルダー氏によって考案され、RSIやDMIと並ぶ人気の高いテクニカル指標となっています。
この指標の狙いは、途転（トレンドの転換）を繰り返すことにあります。途転とは、保有しているポジションを逆にすることを指し、買いポジションを手仕舞いし売りに転じることや、売りポジションを手仕舞いし買いに転じることを意味します。
パラボリックの交差ポイントが売買の転換点を示すため、このポイントを利用してトレードを行うことがパラボリックの目的です。
パラボリックの使い方
まず、パラボリック指標ではSAR（ストップ＆リバースポイント）と株価の位置関係から現在のトレンドを確認します。SARは放物線状にチャート上に表示され、株価との交差ポイントが重要なシグナルとなります。
上昇トレンドの場合、パラボリックのSARは株価の下に表示されます。上昇トレンドでは、株価が上昇し続ける傾向にありますが、一時的な下落や調整がある場合もあります。上昇トレンドが継続している間は、SARがチャートにタッチすることはありません。
このとき、SARと株価が交差したら、下落への転換が示唆されます。つまり、株価がSARの上に移動することで下降トレンドへの転換が予想され、売りサインと判断できるのです。
一方、下降トレンドの場合、パラボリックのSARは株価の上に表示されます。下降トレンドでは、株価が下落し続ける傾向にありますが、一時的な上昇や反発も発生することがあります。こちらも同様に下降トレンドが継続している間は、SARがチャートにタッチすることはありません。
このとき、SARと株価が交差したら、上昇への転換が示唆されます。つまり、株価がSARの下に移動することで上昇トレンドへの転換が予想され、買いサインと判断できるのです。
パラボリックの使い方は比較的シンプルです。重要なのはチャート上に表示されたSARと株価の交差ポイントを注視し、トレンドの転換を予測します。
パラボリックの注意点
パラボリックは、トレンドが明確に発生している相場で有効なテクニカル指標です。しかし、使用する際には注意が必要です。特にレンジ相場では、パラボリックの弱点であるダマシ（偽のシグナル）が多くなりやすい傾向があります。
レンジ相場では、価格が一定幅で推移している状態を指します。このような相場状況では、パラボリックのSARが上下に出現しやすくなります。たとえば、SARがローソク足の下に表示される場合、上昇トレンドの発生サインと解釈できます。しかし、単純に上昇トレンドと判断して買いポジションを保有すると、高値掴みとなるリスクが存在します。（高値掴みとは、高い価格で買ってしまうこと）
レンジ相場では価格が一定幅で振れるため、上昇トレンドと解釈して買いポジションを保有しても、すぐに株価が反転してしまうことがあります。結果として、大きな損失を被る可能性があるのです。
このような状況を避けるためには、パラボリックだけでなく、他のテクニカル指標や相場の状況も総合的に考慮する必要があります。たとえば、移動平均線やボリンジャーバンドなど、株価の範囲やトレンドの強さを確認する指標と組み合わせることで、ダマシの可能性を減らすことができます。
まとめ
主なポイントを要約すると、
・パラボリックはトレンドの転換点を表す指標
・パラボリックのSARと株価との交差するポイントが大事
・レンジ相場ではダマシが多い
パラボリック指標は有効なツールですが、その使用には注意が必要です。レンジ相場ではダマシのリスクが高まるため、トレンドが発生している相場での活用が推奨されます。慎重な分析とリスク管理を行いながら、パラボリックを活用してトレードの成功を目指しましょう！
