「預金からMMFへの流れ止まらず-米国の金融システムと経済にリスク」
2008年の金融危機以来の激動の1カ月に見舞われた後、銀行はジレンマに直面している。
シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー・バンク、シルバーゲート・キャピタルの破綻を受け、顧客は銀行預金より有利で安全な代替を探している。マネー・マーケット・ファンド(MMF)と競合するほどに預金金利を上げるのも解決策にはならない。そうすれば銀行の利益率は急低下し、株価にも影響する恐れがあるからだ。…引用:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-04-03/RSDBH5DWLU6A01
この経済ニュースを読み解いて、今アメリカで何が起こっているのかを勉強していきましょう。
国債ってなに?
国債は、日本政府が発行する債券で、国民からの資金調達を目的としています。債券なので国が国民にローンを借りてると考えてください。
例えば、日本政府が公共事業や災害復興などの費用を賄うために、国民からお金を借りる場合に国債を発行します。
国債は、発行日から一定期間後に元本と利息が返済されます。
国債は、国が発行する債券であるため、信用リスクが低いとされています。会社が潰れる可能性と国が潰れる可能性なら国の方が断然安全ですよね。
なので国債のリスクは低いとされています。
ですが途中解約が1年はできなったり手数料がかかって金利が減ったり、解約までの日数がかかるなどのデメリットがあります。
MMFってなに?
そんなデメリットをなくした(すぐに換金できる)のがMMFと言う投資信託です。MMFは、「Money Market Fund」の略で、日本語では「マネーマーケットファンド」と呼ばれます。
投資信託の中身は国内外の政府・金融機関・企業などが発行する短期債券や商業手形などの金融商品など様々ですが、先ほど国債などのリスクの低い金融商品によって運用しています。
MMFは国債を運用しているので、国債の金利に近くなります。現在アメリカではインフレ対策で国債の金利を高くしているので銀行の金利より高いです。
どれくらいかと言うと、
1年国債の金利 → 約4.8%
MMFの金利 → 約4.6%
米国の銀行預金 → 約0.37%
とこれくらい違います。こんなに違うと銀行に預けているのがバカらしくなってしまいますね。
アメリカで今何が起こっているのか?
[28日 ロイター] – リフィニティブ・リッパーのデータによると、4月26日までの1週間は米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)に大量の資金が流入した。
地銀への不安や景気後退(リセッション)が近いとの懸念で安全な逃避先を求める資金が流入した。
MMFへの純流入額は477億2000万ドル(約6.5兆円)と、週間ベースで3月29日以来の高水準。引用:https://jp.reuters.com/article/usa-markets-flows-idJPKBN2WS0LI
とのことで、アメリカでは銀行の預金を降ろしてMMFを購入する流れになっています。たった1週間で約6.5兆円のお金がMMFになっています。
この中には株のお金だったり、銀行預金のお金だったりがあります。
まぁこれだけの金利差があったら当たり前ですよね。
「じゃあ銀行の金利を上げたらいいんじゃない?」と当然の疑問なのですが、銀行の金利を上げるには投資を多くするなど無理をしなくてはいけません。
多くの銀行は金利でMMFと競争しようとはしていません。
利上げが始まる前に行った低利回り資産への投資からの損失を抱える銀行は、預金金利を上げたくないか、上げようとしても上げられないのが現状です。
ちなみに高い金利をつけていたSVBとシグネチャー銀行は破綻してしまいました。2つの銀行の金利は業界トップクラスだったそうです。
今後どうなるのか?
米国ではCPIやPCEなどの物価の指標は未だにインフレを示しています。
それに対抗するため金利を上げ、わざと不景気にしてインフレを抑えようとしていますが、まだまだ時間はかかりそうです。
金利を上げると銀行の含み損は増え、MMFの金利が上がるので銀行預金からMMFにする人がさらに多くなります。
そうなれば銀行は破綻するしかありません。実際にファーストリパブリック銀行で今年4行目の破綻です。
まだまだ高金利は続くので、アメリカの銀行破綻が続くのではないでしょうか。
そうなると中小企業の借り入れができなくなり、中小企業も経営難に。
破綻すれば預金者のお金が返ってこなくなり、国民も貧乏に。
アメリカと取引がある他の国でも、仕事がなくなってしまいます。
ということは…世界的に大規模な不景気がやってきそうです。