一目均衡表(いちもくきんこうひょう)は、テクニカル分析の中でもトレンド分析に使用される重要な指標です。この指標は、為替の値動きをグラフ化したチャートを基に、過去の価格推移から将来の値動きを予測するために使用されます。今回は、一目均衡表の見方について説明します。
一目均衡表とは
一目均衡表は、株式評論家である細田悟一氏によって考案されました。彼はペンネーム「一目山人」として知られており、この名前にちなんで一目均衡表と呼ばれるようになりました。
一目均衡表は、転換線、基準線、先行スパン1、先行スパン2、および遅行スパンの5本の線を使用して構成されています。これらの線は、時間論、波動論、および値幅観測論という3つの理論に基づいています。
指標の背景には、「売り手と買い手のバランスが崩れたときに相場は大きく動く」という考え方があります。均衡が崩れた後は、一定期間にわたって相場の方向性(トレンド)が続くことが一般的です。一目均衡表を使用することで、相場の流れや方向性を把握しやすくなります。
一目均衡表は、日本だけでなく、海外のファンドマネージャーや個人投資家にも広く支持されている人気の高いテクニカル指標です。その理由は、一目均衡表がシンプルかつ直感的に相場の傾向を把握するのに役立つからです。複数の線や要素が組み合わさっているため、相場のトレンドやサポート・レジスタンスレベルを一目で確認することができます。
しかしながら、一目均衡表はあくまで過去のデータを基にした予測手法であるため、必ずしも将来の相場を正確に予測できるわけではありません。相場はさまざまな要因によって影響を受けるため、他の分析手法やファンダメンタルズ分析との組み合わせが重要です。
一目均衡表の使い方
一目均衡表にはさまざまな線がありますが、その中で注目するポイントがいくつかあります。ここでは一目均衡表の活用法について解説します。
雲(抵抗帯)の判断:
ローソク足と雲の位置関係を見ます。ローソク足が雲の上方にある場合は強い相場、下方にある場合は弱い相場と判断します。雲は上値抵抗線または下値抵抗線として機能し、価格の抵抗レベルを示す重要な要素です。
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雲の突破:
ローソク足が雲を下から上に突破した場合は上昇サインとなり「好転」と判断します。逆に、ローソク足が雲を上から下に突破した場合は下落サインとなり「逆転」と判断します。雲の突破は相場の転換点を示す重要なポイントとなります。
なお、雲の厚みによって突破の難易度が変わるため、雲が厚い場合は日柄を要し、雲が薄い場合は抜けやすく転換しやすいと言われています。
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先行スパンの交差点(雲のねじれ):
先行スパン1と先行スパン2が交差するポイントは「雲のねじれ」と呼ばれます。このねじれは相場の転換点やトレンドの加速を示唆する可能性が高いとされています。雲のねじれに注目することで、相場の変化やトレンド転換のサインを捉えることができます。
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一目均衡表の使い方(発展編)
条件は複雑ですが、一目均衡表には条件が揃った場合に強力な買いシグナル(売りシグナル)となる「三役好転(三役逆転)」と呼ばれるパターンがあります。
転換線>基準線(転換線<基準線): 転換線が基準線を上回った場合は「好転」として買いシグナルとなります。逆に、転換線が基準線を下回った場合は「逆転」として売りシグナルとなります。この条件は相場の方向性を判断するための重要なポイントです。
ローソク足>雲(ローソク足<雲): ローソク足が雲を上回った場合は相場が強気傾向となり、買いシグナルとなります。逆に、ローソク足が雲を下回った場合は相場が弱気傾向となり、売りシグナルとなります。雲は抵抗帯として働くため、この条件は相場の強さや弱さを判断するための重要な指標となります。
遅行線>ローソク足(遅行線<ローソク足): 遅行線が現在のローソク足を上回った場合は「好転」として買いシグナルとなります。逆に、遅行線が現在のローソク足を下回った場合は「逆転」として売りシグナルとなります。遅行線は一定期間後にずらされた線であるため、遅行線がローソク足を追い越すことで相場の転換点を示唆します。
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まとめると、
【三役好転】 強い買いシグナル
・転換線>基準線
・ローソク足>雲
・遅行線>ローソク足
【三役逆転】 強い売りシグナル
・転換線<基準線
・ローソク足<雲
・遅行線<ローソク足
これらの条件が同時に揃った場合、相場の転換が起こる可能性が高くなります。特に三つの条件が合致する場合は、強力な買いシグナル(売りシグナル)となります。なかなか難しいですが、是非とも覚えておきましょう。
まとめ
主なポイントを要約すると、
・一目均衡表を使用することで、相場の流れや方向性を把握しやすくなる
・雲が抵抗線となり、突破するとトレンド転換
・三役好転という強力なシグナルも
一目均衡表はテクニカル分析の一つであり、相場のトレンドや転換点を把握するのに役立つ指標です。シンプルかつ直感的な使い方が特徴であり、トレーダーや投資家に広く利用されています。
しかし、必ずしも正確な予測を提供するものではないため、他の情報や指標との組み合わせやリスク管理との統合が重要です。トレードの際には、継続的な学習と経験を通じて自身のトレードスキルを向上させ、慎重かつ柔軟に相場に対応することが求められます。