MACD（移動平均収束拡散手法）は、株式市場や外国為替市場などで使用されるテクニカル分析の一つです。MACDは、短期と長期の2本の指数平滑移動平均の差を示し、買いと売りのタイミングを判断するために利用されます。今回はMACDついて、その中身と使い方について解説します。
MACDとは
一般的な移動平均は、直近の終値を単純に平均した値です。しかし、指数平滑移動平均は、現在に近いレートほど重要視するため、単純移動平均よりもレートの変動に対する感度が高くなります。
そのため、市場の変動に迅速に反応し、現在のレートに追従しやすいという特徴があります。
MACDは、短期の移動平均線と中長期の移動平均線を組み合わせて使用します。通常の単純移動平均線とは異なり、新しい価格の比重を高めて計算されます。MACDの基本となる線（MACD線）と、MACDの移動平均線であるシグナルと呼ばれる2本の線の推移を観察することで、市場のトレンドや転換点を判断することができます。
MACDはトレンド形成時に特に有効な指標であり、売買のタイミングを見つけるためによく使用されます。主にMACDとMACDシグナルの2本のラインの交差が売買のシグナルとして利用されることが多く、初心者の方でも比較的簡単に理解できるとされる指標です。
ただし、MACDはトレンド相場に強く、ボックス相場ではあまり効果を発揮しません。ボックス相場とは、価格がある範囲で上下に振れ動き、明確な上昇トレンドや下降トレンドが形成されない相場状況を指します。MACDはトレンドを捉える力が強いため、ボックス相場では精度が低くなる傾向があります。
MACDの使い方
MACDの使い方としては、MACD線とシグナル線のクロスオーバー（交差）を注視します。MACD線がシグナル線を上向きに突破する（ゴールデンクロス）と、買いのシグナルとして解釈されます。
逆に、MACD線がシグナル線を下向きに突破する（デッドクロス）と、売りのシグナルとなります。
また、MACDのヒストグラムも重要な情報を提供します。ヒストグラムはMACD線とシグナル線の差を表し、その値がプラスからマイナスに切り替わるポイントが重要な転換点となります。プラスからマイナスに切り替わると、売り圧力が高まっていることを示し、マイナスからプラスに切り替わると、買い圧力が高まっていることを示します。
使い方としては非常にシンプルです。移動平均線の時に学んだ「ゴールデンクロス」「デッドクロス」がそのまま利用できます。さらにヒストグラムの転換点と３つのポイントを活用するだけです。
・MACDがゴールデンクロス→ 株価が上昇
・MACDがデッドクロス→ 株価が下落
・MACDの日ストグラムが転換→株価が反転
MACDを活用する際の注意点
MACDはトレンド相場において特に有効なツールですが、注意点としては以下の3つが挙げられます。
レンジ相場には注意
MACDはトレンド相場において優れた成果を上げますが、横ばいのレンジ相場では弱点を露呈し、ダマシ（偽のシグナル）が多く発生する可能性があります。相場の状況を把握し、MACDを有効に活用できる相場で使用することが重要です。
トレンド終盤には警戒
ダイバージェンスなどでトレンド転換のサインが出た後、次のトレンドが形成されるまでのトレンド終盤では、しばしばトレンドレス（レンジ相場）となります。この期間ではMACDを使って正確なエントリーや決済のタイミングを見極めることが難しくなります。MACDの強みであるトレンド相場で有効に活用するためにも、トレンド転換やレンジ相場への移行のサインを見逃さず、柔軟に取引手法を切り替える必要があります。
他のテクニカル指標との組み合わせ
MACDは単体でも有効ですが、他のテクニカル指標との組み合わせによりさらなる信頼性の高い売買シグナルを得ることができます。特にRSI（Relative Strength Index）や移動平均線との組み合わせは一般的です。RSIによる過熱感の判断や、MACDとRSIのダイバージェンスが見られない状況などを確認することで、より高い信頼度のトレードを実現できます。
まとめ
主なポイントを要約すると、
・MACDは２本の線からトレンド相場で買い時、売り時を見極めるのに向いてる指標
・「ゴールデンクロス」「デッドクロス」「ヒストグラムの転換」が重要
・レンジ相場、トレンド終盤には注意
MACDは、トレンド発生時に精度の高い売買シグナルとして活用することができます。初めは使い方や見方が難しく感じるかもしれませんが、一度理解することができれば非常に力強い取引ツールとして活用することができます。また、RSIや移動平均線といった他のテクニカル指標と組み合わせることでさらに信頼度の高い売買シグナルとして活用することができます。
