テクニカル基礎

PBR(株価純資産倍率)とは?初心者向けに解説します【ロキ兄さん/指標の読み方】

金融業界では、さまざまな専門用語が存在し、それぞれが特定の意味を持っています。その中でも、PBR(株価純資産倍率)は株式投資や企業の財務分析においてよく使われる重要な指標の一つです。今回は、PBRの意味、会社の資産価値、注意点について詳しく解説します。

 

PBRとは何か?PBRの意味

PBRは、企業の株価と純資産価値(ブックバリュー)の比率を示す指標です。ブックバリューとは、企業の財務諸表上での純資産の総額を指し、資産から負債を差し引いた値です。PBRは、投資家が株価をブックバリューに対してどれだけ支払っているかを示すことで、企業の評価や投資の魅力度を判断するための手がかりとなります。

というのが教科書的な説明ですが、もう少し噛み砕いて理解していきましょう。

PBRはPERと同じように株価が割高か割安かを表す指標です。

PBRが何を表しているかと言うと、『今の株価が会社の資産価値の何倍か』と言うことを表しています。

 

PBRが1倍の企業は、 今の株価=会社の資産価値と同じ

PBRが2倍の企業は、 今の株価=会社の資産価値の2倍

PBRが0.5倍の企業は、 今の株価=会社の資産価値の半分

というのが一目でわかるようになっています。PBRは1倍よりも大きいと割高、1倍よりも小さいと割安と言われています。

 

会社の資産価値とは?

会社の資産は、現金や預金だけでなく、さまざまな財産を含みます。以下に代表的な資産の一部を挙げてみましょう。

・物理的資産: 建物、土地、機械、設備など、会社が所有する物理的な資産が含まれます。これらの資産は、生産活動や事業運営に使用されます。

・金融資産: 株式や債券などの金融商品も資産として扱われます。会社が保有する株式や他社への投資、債券などが含まれます。

・受取債権: 売掛金や未収金など、将来的に現金化される可能性のある債権も資産に含まれます。顧客からの支払いを受ける予定の金額や、未回収の売上金額も含まれます。

・知的財産: 特許権、商標権、著作権などの知的財産も、会社の資産として評価されます。これらの財産は、会社の競争力やブランド価値を形成します。

まとめると、資産とは、会社の現金や貯金(預金)だけでなく、建物や土地、機械設備などすべての財産のことです。

また、経営においてすでに保有している財産だけではなく、売掛金など将来会社に収益をもたらす可能性があり、金額で評価できるものも資産に含みます。

 

なぜ会社の資産価値が重要なのか?

『株は会社が倒産したら紙切れ(=0円)になる』と言われていますが、本当に0円になるわけではありません。

その時点の会社の資産を株主全員で分配することになります。(倒産する企業は持っている資産もほぼ0なんですが…)

 

つまり先ほどのPBRで「会社が解散した場合の戻ってくる金額」が分かるのです。

先ほどの例で言うと、

PBRが1倍の企業は、今の株価と同じ金額が戻ってくる

PBRが2倍の企業は、今の株価の半分の金額が戻ってくる

PBRが0.5倍の企業は、今の株価の2倍の金額が戻ってくる

PBRが1倍よりも低いほど、その株が割安だと言われるのはこれが理由です。買った株価よりも大きい金額が会社が解散した場合に返ってきます。

低いPBRは投資の割安感を表し、会社にとっては嬉しくないですが、投資家にとって魅力的な機会となる可能性があるのがわかりますね。

 

PBRの利用と注意点

PBRは、同じ業界に属する企業間での比較に役立ちます。PERでもありましたが、違う業界を比較するのにはあまり向いていません。業界によって会社の資産価値の傾向が変わるためです。

同じ業界の企業のPBRを比較することで、特定の企業が他の企業に比べてどれだけ割安または割高であるかを把握することができます。

 

業種ごとの平均PBRは日本取引所グループが毎月データを更新していますので、そちらを確認しましょう。

https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/04.html

最新の業種別PBR(2023年4月)

2023年4月時点での業種別PBRは以下のようになっています。

一目でわかりやすいPBRですが、注意点として以下のものがあります。

①財務指標の限定性

PBRは企業の財務状況を示す指標の一つですが、他の財務指標と併せて考慮する必要があります。PBRだけで企業の評価をすると、業界の特性や企業の成長性などの要素が見落とされる可能性があります。

②資産評価の問題

PBRの分母である純資産価値は、企業の財務諸表上の評価に依存しています。しかし、資産の評価方法や企業の会計処理によって異なる値が得られる場合があります。したがって、PBRを使用する際には、企業の財務報告書の正確性や信頼性に留意する必要があります。つまり不正会計をされると指標が信用できません。

③成長企業の評価の難しさ

PBRは、企業の過去の業績や現在の財務状況に基づいているため、成長企業や新興企業の評価には適していません。成長性や将来の収益性など、将来の見通しを反映する指標としては不十分なことを覚えておきましょう。

 

まとめ

PBRは、企業の株価と純資産価値(ブックバリュー)の比率を示す指標です。言い換えると『今の株価が会社の資産価値の何倍か』と言うことを表しています。

PBRは1倍よりも大きいと割高、1倍よりも小さいと割安と言われています。これはPBRで「会社が解散した場合の戻ってくる金額」が1倍よりも小さいと元の株価より大きくなるからです。

ですがPBRも一つの指標に過ぎず、企業の投資価値を評価する際には他の要素も考慮する必要があります。業種や市場の特性、将来の見通し、リスク要因なども総合的に分析することが重要です。

ロキ兄
ロキ兄
投資は自己責任で!一緒にしっかり勉強していきましょう!

 

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