今週のニュース:長期金利が一時2.87%、30年ぶりの高さへ

7月8日(火)、日本の長期金利の指標となる10年国債の利回りが一時2.87%まで上昇し、約30年ぶりの高水準を記録した。これを受けて日経平均は3日続落となり、9日(水)には1437円安の6万6819円と、先週末比で大きく水準を切り下げた。

一方で、この「金利上昇」の局面でただ一つ元気なのが銀行株だ。三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループなどのメガバンクは、日経平均が下落する中で逆行高する場面が目立っている。

リコ
リコ
金利が上がると株が下がる……なのに銀行株だけ上がるって、なんで逆のことが起きてるの? 意味が分からない!
ロキ兄
ロキ兄
それが今日の深掘りテーマだよ。「なぜ長期金利が上がると株が下がるのか」と「なぜ銀行株だけ上がるのか」——この2つの謎を解くと、市場のメカニズムがかなりすっきり見えてくるよ。

まず「長期金利」とは何かを整理する

長期金利とは、国が「10年後に返します」という約束で発行する国債(10年国債)の利回りのことだ。日銀が直接コントロールする「政策金利(短期金利)」とは異なり、長期金利は市場参加者の売買によって日々動く。

父
今回2.87%まで上昇した背景には3つの理由がある。①米国の長期金利上昇が日本にも波及したこと。②高市首相が補正予算編成の検討を表明し、国債増発(=財政悪化)への懸念が広がったこと。③中東情勢の不安定化を受けたインフレ懸念が、金利上昇圧力を強めたことだ。
母
国債が大量に発行されると、「買い手を集めるために利回りを上げなければならない」という力学が働くの。つまり財政の不安が長期金利を押し上げる原因になるのよ。水曜の住宅ローンの話でも出てきた「金利上昇」と同じ流れね。

「長期金利↑→株価↓」の仕組みを3分で理解する

ロキ兄
ロキ兄
「なぜ金利が上がると株が下がるのか」を一言で言うと、「株の魅力が相対的に下がるから」なんだ。

株式投資と国債投資は、「リスクを取ってリターンを得る」という意味で競合する関係にある。国債の利回りが2.87%なら、「ほぼリスクゼロで年2.87%もらえる」という選択肢が強くなる。一方で株式投資はリスクがある分、それを上回るリターンが期待できなければ「わざわざ株を買う必要はない」という判断になりやすい。

父
もう一つ重要なのが「割引率」の概念だ。株価は「将来の利益を現在の価値に換算したもの」とも言える。金利が上がると、将来の利益を現在に換算する際の「割引率」が上がり、株価の理論値が下がる。特に「将来の成長」が期待されているAI・ハイテク株は、この影響を受けやすいんだよ。
リコ
リコ
だから先週から半導体・AI株の下落が続いているのか。金利が上がると「将来の期待」が割り引かれちゃうんだね。

なぜ「銀行株だけ」逆行高するのか

ロキ兄
ロキ兄
ここが面白いところだよ。銀行は「お金を預かって、より高い金利で貸し出す」ことで利益を得るビジネスモデルだ。長期金利が上がると、貸出金利も上昇するから、銀行の「利ざや(預金金利と貸出金利の差)」が広がりやすくなる。つまり銀行にとって「金利上昇=儲けやすい環境」なんだ。
母
簡単に言うと、銀行は「金利を売っている会社」なの。金利という商品の値段(=金利水準)が上がれば、売上が増えるのよ。だから他のセクターが下がる中で銀行株だけが上がるのは、理にかなった動きなの。
リコ
リコ
「金利を売っている会社」か! そう考えると分かりやすい。金利が上がると在庫の価値が上がる感じだね。
父
ただし、過度な金利上昇は銀行にとっても痛手になる局面がある。金利が急上昇すると、企業や個人のローン返済が苦しくなり、不良債権が増えるリスクがある。今回の2.87%水準では「銀行に有利」という見方が優勢だが、今後さらに金利が上昇し続けると話が変わってくる点は覚えておきたいね。

「30年ぶりの高金利」は日本の異常事態なの?

リコ
リコ
30年ぶりって、バブル崩壊のころ? それって大変なことなの?

日本の長期金利は1990年代のバブル崩壊後から低下し続け、2016年にはマイナス金利まで低下した。その後、日銀の金融緩和修正(2022年〜)と利上げの流れを受けて上昇基調に転じ、今年2026年に入ってから急ピッチで上昇が加速している。

ロキ兄
ロキ兄
「30年ぶりの高水準」というのはあくまで過去との比較で、欧米の5〜6%台と比べると日本の2.87%はまだ低い水準だよ。ただ「急上昇している速度」が問題で、市場が消化できないほど急ピッチに上がると、株式市場全体の調整につながりやすいんだ。
母
一方で、野村證券のレポートでは「名目GDP成長率が長期金利を上回っている限り、長期的な株高基調は崩れにくい」という見方も示されているの。「金利が上がる=経済が成長している」という健全な上昇なら、株式市場も中長期的には耐えられるという考え方よ。

積立NISAをやっている人への影響は?

ロキ兄
ロキ兄
今週の日経平均は3日で3,000円以上下落した。オルカンやS&P500を積み立てている人も、画面上の数字が減っているかもしれない。でも今日の内容を読んでくれた人は、「なぜ下がっているか」が分かったはずだよ。
父
「長期金利の急上昇→株価の調整」は、過去にも何度も起きてきた。そのたびに相場は一定期間をかけて回復してきた。今週の下落を見て積立を止めることは、「調整局面に安く買えるチャンスを自ら捨てる」行為に等しいんだよ。
リコ
リコ
毎週「なぜ動いたか」を学んでいると、本当に焦らなくなってきた。ニュースの読み方って、こんなに重要なんだね。

今日のまとめ

ロキ兄
ロキ兄
今日のポイントをまとめるよ。①7月8日に日本の長期金利が一時2.87%と30年ぶりの高水準に。背景は米金利上昇・財政悪化懸念・インフレ懸念の3つ。②「長期金利↑→株価↓」の理由は、国債の魅力が高まり株の相対的な魅力が下がるから、そして成長株の「将来の利益の割引率」が上がるから。③銀行株が逆行高するのは「金利を売っているビジネス」だから——金利上昇で利ざやが広がり収益改善が期待されるため。④積立NISAは今週の下落でも止める必要なし。「なぜ下がったか」を理解して淡々と続けるのが正解だよ。
リコ
リコ
「金利上昇→ハイテク株安・銀行株高」の構図、スッと頭に入った! これを知ってるだけで、ニュースの見え方が全然変わるね。
ロキ兄
ロキ兄
※投資は自己責任でお願いします。

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