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1.パウエル議長「リスクのない道は存在しない」
こんにちは、『えすふぁみ☆家族で株投資』です。
木曜日は「ニュース深掘り」。今日はアメリカFRBのパウエル議長が行った講演を取り上げます。
議長は「インフレは上方向のリスク、雇用は下方向のリスク」とし、「リスクのない道は存在しない」と強調しました。
先週のFOMC会合で今年初めて利下げが決まりましたが、景気と物価の両面に不安が残る中で、今後の金利政策は一層難しい判断を迫られる状況にあります。
2. 労働市場に漂う「下振れリスク」
議長は「労働力の供給と需要がともに鈍化している」と発言しました。これは異例の展開で、雇用の軟化リスクが強まっていることを示唆します。
要因の一つが労働力人口の減少です。移民規制の強化などで労働供給が減り、人手不足が生産性に響く懸念も出ています。加えて、雇用統計の改定では新規雇用の伸びが想定以上に減速していることが明らかになりました。
3. インフレを押し上げる関税の影響
一方で、物価にはインフレ加速リスクが残っています。議長は「関税引き上げがサプライチェーンに波及し、一時的な価格上昇が続く可能性がある」と指摘しました。
とくに生活必需品や輸入品に関税がかかれば、その価格転嫁は消費者に直撃します。FRBにとって「雇用を守るための利下げ」と「インフレ抑制のための高金利維持」という二律背反が浮き彫りになっているのです。
4. FOMC内部でも割れる見解
先週公表されたドット・プロット(金利見通し)によれば、中央値では年内さらに2回の利下げが示唆されました。
しかし一部の当局者は「追加利下げは1回で十分」あるいは「利下げ不要」との立場を崩していません。
利下げ推進派:雇用悪化を懸念し、追加利下げで下支えを狙う。
慎重派:インフレ率が依然2%を上回るため、緩和過剰を警戒。
5. 市場と生活への波及効果
FRBの利下げ姿勢は、日本を含む世界市場にも大きな影響を与えます。
為替:利下げで日米金利差が縮小すれば円高要因に。
株式:米株の上昇が続けば日本株にもプラス。ただし景気減速懸念なら逆風。
債券:米国債利回り低下が日本の金利水準にも波及。
まとめ|リスクとどう向き合うか
今回のパウエル議長の発言から見えてくるのは、「どちらを取ってもリスクが残る」という現実です。
雇用:供給と需要の鈍化で下振れリスク。
物価:関税やコスト高で上振れリスク。
政策:FOMC内部でも意見が割れ、方向感は不透明。
投資家も家計も、FRBの難しいかじ取りを冷静に見守りながら、リスクと共存する姿勢を意識していきたいですね。