本日も注目銘柄をゆる~く語っていきます。
注目銘柄!日野自動車(7205)
概要
日野自動車株式会社は、日本の商用車メーカーであり、トラックやバスなどの製造を専門としています。
トヨタ自動車の連結子会社であり、トヨタグループ16社の中の一つです。
そんな日野自動車に三菱ふそうとの経営統合のニュースが!
今回は、日野自動車の歴史と事業内容、エンジン不正問題と今回の経営統合についてご紹介します。
日野自動車の歴史
東京瓦斯電気工業株式会社(瓦斯電:がすでん)は、現在の日野自動車の母体とされています。明治時代末期から大正時代にかけて、東京瓦斯電気工業はガス・電気器具の生産に従事していました。第一次世界大戦時には海外からの大量注文により業績を伸ばし、航空機用国産エンジン「神風」の生産なども行っていました。
また、日本で初期の自動車量産にも取り組んでいました。
1930年代には、国策として大型車両の生産が強化され、東京瓦斯電気工業株式会社の自動車部、自動車工業株式会社、および共同国産自動車株式会社が合併し、ヂーゼル自動車工業(現在のいすゞ自動車)が設立されました。その後、戦時体制下で、ヂーゼル自動車工業から特殊車両製造部門の日野製造所が分離独立し、日野重工業が設立され、九七式中戦車などの軍需車両の製造が行われました。
終戦後の1946年には、民需転換のために日野産業に改称しました。日野はディーゼルエンジン技術を活かし、当時としては異例とも言える超大型トレーラートラックやバスを開発しました。さらに、1950年以降は通常シャーシの大型ディーゼルトラックやバスの生産も開始し、いすゞと競合する大型車両業界の有力メーカーとなりました。
1966年にトヨタ自動車と提携して以降、日野自動車は再びトラック・バスの開発・生産に特化しています。この提携により、日野はトヨタの技術や生産ノウハウを活用し、高品質で信頼性の高い商用車を提供することができるようになりました。
日野自動車は、その後も技術革新を続けながら、グローバル市場での地位を築いてきました。品質、信頼性、燃費効率、そして環境への配慮を重視した商用車を提供することで、多くのお客様のニーズに応えています。トラック・バスの分野で世界的に知られるリーディングカンパニーとして、商用車業界に貢献し続けています。
事業内容
日野自動車は、主に商用車の生産に取り組んでおり、トラックやバスなどを製造しています。また、トヨタブランドの小型乗用車や小型・普通トラック、SUVなどの受託生産も行っています。
日野自動車の特徴は、エンジンと車両の性能が高く、故障しづらい点です。その性能の高さは、「ダカールラリー」という山岳地帯を2週間かけて走りきるレースを耐え抜いたほどです。 売上の約6割が海外のものであることから、日野自動車のトラックは海外でも人気があると言えます。
さらに、親会社であるトヨタとの協力関係も強く、陸上自衛隊向けの73式中型トラックの納入や、トヨタ向けのディーゼルエンジンの生産、そして軍用ハイブリッドシステムの共同開発などにも携わっています。
ここで業界でどれくらいのシェアがあるのか確認しましょう。大・中型トラックの販売シェアは、1973年度より49年連続 No. 1。2018年度は過去最高の40.5%を達成し、業界トップのシェアを日野自動車が獲得しています。
日野自動車は、バスにおいても販売シェアトップを誇り、2007年度から15年連続でNo. 1を獲得しています。
エンジン不正問題
日野自動車エンジン不正問題は、2022年3月4日に日野自動車の社内調査によって日本国内向けエンジンの排出ガスや燃費の不正が発覚した問題です。
この問題は、初めて道路運送車両法第75条に基づく型式指定の取り消し処分や是正命令が適用されたケースでもあります。さらに、日野自動車だけでなく、親会社であるトヨタ自動車や他の自動車メーカーや建設機械メーカー、日野自動車製エンジンを搭載していない自動車メーカーまで巻き込む事態に発展しました。
エンジン不正の内容は、いくつかのエンジンモデルにおいて排出ガスや燃費のテスト結果を操作していたことです。
具体的には、A05Cエンジンでは排出ガス性能の劣化耐久試験において、規制値に適合しない可能性があることが認識されながらも、試験中に排出ガス後処理装置の第2マフラーを途中で交換して試験を続行しました。
また、A09CとE13Cエンジンでは燃費測定において、重量車燃費基準を満たすために燃料流量校正値を操作し、実際よりも良い燃費値を表示させていました。これらの不正行為が技術検証によって明らかになりました。
国土交通省はこの問題について日野自動車本社と各工場に対して立入調査を行い、日野自動車も特別調査委員会を設置しました。このエンジン不正問題は、日野自動車だけでなく、関連企業や顧客にも大きな影響を与えています。信頼性の低下や法的な制裁、経済的損失などの問題が発生しています。日野自動車はこの問題に真摯に取り組み、再発防止策の強化や顧客への誠実な対応を行っていくことが求められました。
三菱ふそうとの経営統合
30日に、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合に向けた基本合意書を締結しました。この統合には、親会社のダイムラートラックとトヨタも含まれ、4社が協力していくことで合意しました。日野と三菱ふそうの経営統合により、グローバルでの商用車事業の強化を目指して、協業を進めることになります。
三菱ふそうと日野が連携し、開発・生産などの事業効率を高め、日本・アジアの自動車産業の基盤を守りながら、「日本の自動車産業に貢献していく」との意気込みを示しています。
新会社の名称、所在地、体制、協業の範囲や内容については、2024年3月期中の最終契約締結を目指し、同年中に統合を完了させる予定です。
日野は非上場企業となり、現在50.1%の出資を行っているトヨタは親会社の地位を失う見込みです。日野は先ほどのエンジンの認証不正問題が発覚し、2023年3月期には1176億円の最終赤字を計上しました。
今回の契約では、認証不正に起因する問題が新たに顕在化し、統合会社、日野、三菱ふそうの株主が損害を被った場合には、一定の条件に同意することを条件として、統合会社と日野が三菱ふそうの株主に対して、その損害につき一定の金銭補償義務を負う旨を最終契約に規定する予定とのこと。認証不正に対して今後もしっかりと取り組むということです。
この経営統合が成功すれば、日本の商用車メーカーとしての競争力強化や技術開発の加速、グローバル市場での存在感向上など、多くのメリットが期待されます。自動車産業の発展に貢献し、日本企業の競争力向上につながることを願っています。
本日の株価
MARKET SPEED
三菱ふそうとの経営統合のニュースが報じられた日野自動車(7205)の本日の株価は、
前日比+68円(+12.30%)現在値621円と大幅上昇に。
一時14%超高に急騰しました。やはり、三菱ふそうと経営統合することが市場から好感されたようです。
三菱ふそうと統合すれば規模の利益が確保され日野自動車が救済される形と考えられた模様です。
ただこの買いがどこまで続くか不明です。