今週の火曜日、9月29日。ニュースで「配当落ち」という言葉が何度も流れました。前日の9月28日は、9月末の配当や株主優待をもらうための「権利付き最終日」。日経平均はこの日486円安の6万5877円と6日ぶりに下げ、29日は「配当落ち」の分として約300円の下げ圧力がかかるといわれました。米国株安も重なって一時は1100円ほど下げ、終値は396円安の6万5481円。ところが30日は3日ぶりに大幅反発して6万6000円台を回復し、10月1日には2203円高の6万8956円まで駆け上がりました。
「配当ってもらえるうれしいお金なのに、なんで株価は下がるの?」――今日のおこづかい劇場は、この不思議をお菓子の箱を使って体験してみます。

今日の”おこづかい劇場”|「配当落ち」って損したの?お菓子の箱で体験してみた

リコ
リコ
ねえねえ、ニュースで「配当落ちで株価が下がった」って言ってたよ。配当をもらえたのに株が下がるなら、結局損してない?
ロキ兄
ロキ兄
いい質問だね。じゃあ今日は「お菓子会社ごっこ」でやってみよう。説明を聞くより、自分でやってみたほうが一発でわかるよ。
母
母
ちょうどクッキーの箱があるわよ。これを使いましょうか。

ステップ1:「クッキー株式会社」の株を買おう

ルールはかんたんです。クッキーが10枚入った箱を「クッキー株式会社」とし、この会社の株は1株=クッキー1箱分の価値ということにします。クッキー1枚=100円と決めると、箱ごと持っている人の株の価値は1,000円です。

父
父
じゃあリコ、おこづかいから1,000円分で、この株を1株買ってみようか。今日からリコはクッキー株式会社の株主だ。
リコ
リコ
やった!株主になった!箱ごと持ってるから、クッキー10枚分の価値だよね。

ステップ2:「配当」の日がやってきた

クッキー株式会社は今期がんばったので、「株主に1株あたりクッキー1枚を配当します」と発表しました。ただし、配当をもらえるのは「決められた日に株を持っている人」だけ。これが「権利付き最終日」の考え方です。

ロキ兄
ロキ兄
本物の株だと、今年は9月28日が権利付き最終日だったんだ。この日の終わりまでに株を持っていれば、配当をもらう権利がつくよ。
リコ
リコ
私はずっと持ってたから大丈夫!早くクッキーちょうだい!
母
母
はい、配当のクッキー1枚。……でも、このクッキーはどこから出てきたと思う?
リコ
リコ
え?……あっ!箱の中から出してる!箱のクッキーが9枚になっちゃった!

ステップ3:箱の価値はいくら?

ここが今日のいちばん大事なポイントです。配当のクッキーは、どこか別の場所からわいてきたものではありません。会社(箱)の中にあったものを、株主に渡しただけなのです。

ロキ兄
ロキ兄
じゃあ計算してみよう。いま手元にある「クッキー1枚=100円」と「9枚入りの箱=900円」。合計すると?
リコ
リコ
100円+900円で……1,000円!最初と同じだ!
父
父
そう。株の値段は「箱の中身の価値」だから、配当を出したぶん900円に下がる。でもリコの財産は、クッキーと箱を合わせて1,000円のまま。これが「配当落ち」の正体なんだ。

ステップ4:箱をあとから買った人はどうなる?

もうひとつ実験です。ロキ兄が、配当を配ったあとの箱を買いたいと言いだしました。

ロキ兄
ロキ兄
リコ、その箱を1,000円で売ってよ。
リコ
リコ
えー、でも中身は9枚だよ?1,000円じゃ高すぎるよ。900円ならいいけど。
母
母
リコ、いま自分で答えを言ったわね。配当をもらう権利がなくなった株は、そのぶん安くないと誰も買わない。だから権利落ち日の朝は、株価が配当のぶんだけ下がって始まりやすいのよ。
父
父
9月29日のニュースで「配当落ちで約300円の下げ」と言っていたのも同じ理屈だよ。日経平均に入っている会社がいっせいに配当の権利を落としたから、そのぶんが指数を押し下げたんだ。

ステップ5:それでも「配当目当ての駆け込み」は得?

リコ
リコ
じゃあさ、権利付き最終日にだけ買って、配当をもらってすぐ売ったら?
ロキ兄
ロキ兄
計算上は「配当をもらう」けど「株価が下がる」ので、差し引きゼロに近くなるんだ。しかも本物の配当には税金がかかるし、売り買いの手数料もかかる。それに、配当落ち以外の理由で株価がもっと下がることもあるよ。
父
父
今週もまさにそうだった。29日は配当落ちの約300円だけじゃなくて、アメリカの株安も重なって一時1100円ほど下げたからね。配当だけ見て飛びつくより、「その会社を長く持ちたいか」で考えるのが大事なんだ。

ステップ6:配当落ちのあと、株価はどうなった?

実は今週は、配当落ちのあとの動きもわかりやすい1週間でした。9月29日に6万5481円まで下げた日経平均は、翌30日に3日ぶりの大幅反発。10月1日には半導体関連の株が買われて2203円高となり、1か月半ぶりに6万8000円台を回復しました。

リコ
リコ
えっ、配当落ちで下がったのに、2日後にはもっと高くなってるじゃん!
ロキ兄
ロキ兄
配当落ちで下がるのは「箱からクッキーを出した分」だけ。そのあとの株価は、会社がこれからどれだけクッキーを焼けるか、つまり業績や期待で動くんだ。
母
母
ゲームでいうと、箱が9枚になったあと「新しいクッキーがどんどん焼けそう!」って評判になれば、また箱の値段は上がっていくってことね。配当は「会社の利益の分け前」。会社がまたがんばって利益を出せば、箱の中身は少しずつ増えていく。長く持つ人ほど、その成長も一緒に受け取れるのよ。

おうちでやってみよう!「配当落ちごっこ」のルール

・お菓子(クッキー、ラムネ、チョコなど)を10個入れた箱を用意する
・お菓子1個の値段を決めて、箱全体を「会社の株」にする
・「配当の日」に、箱の中からお菓子を株主に配る
・配ったあとの箱の値段と、手元のお菓子の値段を足してみる
・配当のあとに箱を売り買いして、「いくらなら買う?」を話し合う

最後の「いくらなら買う?」まで話し合うと、子どもが自分で「配当のぶん安くなるのは当たり前」とわかるようになります。

リコ
リコ
配当落ちって、損したんじゃなくて「箱からポケットにお菓子が移っただけ」なんだね!スッキリした!
ロキ兄
ロキ兄
そのとおり。ちなみに実験で使ったクッキーは、ちゃんとみんなで食べていいよ。

今日のまとめ

今週は9月28日が権利付き最終日、29日が権利落ち日で、ニュースでも「配当落ち」という言葉をよく耳にしました。配当をもらったのに株価が下がると聞くと損をした気分になりますが、お菓子の箱で考えると、会社の中にあったお金が株主の手元に移っただけです。財産の合計は変わりません。

そして配当落ちのあとの株価は、会社のこれからの稼ぐ力や期待で動きます。今週の日経平均も、29日に下げたあと10月1日には6万8000円台を回復しました。
だからこそ、配当だけを目当てに権利付き最終日に駆け込むより、「この会社を応援して長く持ちたいか」で考えるのが大切です。

週末は、おうちにあるお菓子で「配当落ちごっこ」をしてみてください。最後はみんなでおいしく食べて、楽しく学べたら大成功です。

ロキ兄
ロキ兄
※投資は自己責任でお願いします。

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